研究所・管理栄養士のコラム 「健康・栄養 キホンのキ」

「食事バランスガイド」は「食生活指針※」をより具体的な行動に結びつけるためのツールとして、
厚生労働省および農林水産省によって作成されたもので、20056月に初めて発表されました。

食事バランスガイドでは主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の1日の摂取バランスがコマの
イラストで表現されていて、1日に何をどれだけ食べたら良いかの目安が、栄養素や食品ではなく
「料理」の形で示されています。料理ベースで示すことで、食事への関心が低い人や料理を
しない人にも分かりやすくなるように工夫されています。

 ※食生活指針:
 当時の文部省、厚生省および農林水産省によって2000年に策定された指針。国民が日々の生活の中で
 「何をどれだけ、どのように食べたらよいのか」を実践するための目標が文章で示されている。2016年に改訂版が発表された。

発表された当時の食事バランスガイドは「日本人の食事摂取基準(2005年版)」を
参照しているため、食事摂取基準の改訂が5年ごとに行われるたびに、食事バランスガイドの
見直しと検証が行われています。最新の2015年版との検証によると、エネルギー必要量にも
よりますが、現行の食事バランスガイドよりも、主食のサービング数(皿数)が若干減り、
主菜のサービング数が若干増えることになるようです。

文献リンク

 食事バランスガイドの遵守度と死亡の関連について検討した結果が論文にまとめられ、
2016
年に発表されています。健康な日本人中高年の男女 約8万人を対象に15年間
追跡した前向きコホート研究によると、男女を問わず、食事バランスガイドに沿った食生活を
送っている人ほど死亡率が低く、特に脳血管疾患や循環器疾患による死亡リスクが低くなる
ことが確認されました。

JPHCリンク

 忙しい日々の中で食事バランスガイドに準じた食事を実践することは簡単ではないですが、
このようなエビデンスを目の当たりにすると、やはり改善の必要性を感じます。
また、いくら食事のバランスが良くても、コマを回すためには運動(活動)が必要です。
運動する時間がないなら消費エネルギー量に応じて食事を減らせばいいと安易に考えがち
ですが、必ずしもそれは正解ではないと改めて感じました。

201709月)

1回 食事のものさし「食事バランスガイド」